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コーポラティズムとは

ネオ コーポラ ティズム

コーポラティズム(: Corporativismo、: Corporatism)とは、・分野におけるの概念の1つで、や社会などの集団の、的な関連性と相互の協調を重視する。 コーポラティズムの概念はので、当時のによる個人主義的な社会観に反対する形で発生し、共同体をののように見做し、個人の間における有機体的で社会連帯的で機能的な特質と役割に基礎を置いた。 にはなどファシストがコーポラティズムを主張し、国家組織にやの代表を組織し、を行った。 これは「 国家コーポラティズム」や「的コーポラティズム」とも呼ばれる。 また後は、などの諸国におけるとのパートナーシップに基づく立案・政策運営・利害調整もコーポラティズムと呼ばれる。 これは「 ネオ・コーポラティズム」(新コーポラティズム)や「社会コーポラティズム」、「民主的コーポラティズム」、「的コーポラティズム」などとも呼ばれる。 用語 [ ] 「コーポラティズム」の語はの「 」(身体)に由来する。 日本では時期や指す内容にも応じて、「協同主義」「協調主義」「統合主義」 、あるいは「協調組合主義」 などと訳されている。 通常、前はの経済会議やイタリアの国家の団体統合原理である「職能代表制」を指したが、第二次世界大戦後は政府となどの巨大な圧力団体との密接な関係を指すようになった。 また「ネオ・コーポラティズム」は「新協調主義」や「新協調組合主義」 とも訳されている。 概要 [ ] 公式なコーポラティストのモデルは、農業や経営、民族、労働、軍事、後援、科学、宗教などのコーポレート・グループの集約的な身体(集団)への契約を基礎とする。 コーポラティズムの最も著名な形態の1つは、経済政策を設定するための経営・労働・国家の利益集団の間の調整を含む、三者構成原則である。 コーポラティズムは、階層的な機能という的な概念に関連している。 集団的で社会的な相互交流や相互作用は、家族や一族や民族などの集団の中では一般的である。 人間以外でもなどの一部の動物の種は、強い集団的な社会組織を示す事が知られている。 自然ではのは、集団的な組織体と相互作用を含むことが認識されている。 コーポラティストの共同体や社会的相互作用の視点では、や、、、などのが、多くの主要な世界では一般的である。 またコーポラティズムはをまたがった多くのを使用してきており、それにはや、、ファシズム、自由主義、、、、、などが含まれる。 思想としてのコーポラティズム [ ] コーポラティズム的な着想は、後半以降の非常に多種多様な思想の中に垣間見ることができる。 具体的には、• を主張したオーストリアの• イギリスの• の「」()• の回勅「」() などが挙げられる。 また、におけるはコーポラティズムの制度化とも考えられる。 国家コーポラティズム [ ] 国家コーポラティズムの典型例としては、イタリアのファシズムにおける「コーポラティスト国家」が挙げられる。 これは元でファシストの が理論化した。 このほか、のなど、のやの権威主義諸国も国家コーポラティズムの性格を有していた。 ただし、は、思想としてのコーポラティズムも、政治システムとしての国家コーポラティズムも、検討が十分ではないと指摘している。 ネオ・コーポラティズム [ ] 背景 [ ] 戦後のヨーロッパの小国(北欧諸国やオーストリアなど)では、集権的な利益集団システムや、政府・労働組合・経営者団体の協調に基づく政策過程が観察された。 シュミッターやは、国家コーポラティズムとの外見的類似性から、このような政治システムをネオ・コーポラティズムと呼称した。 特ににがに喘ぐ中で、ネオ・コーポラティズム体制を構築していたの諸国は比較的良好な経済パフォーマンス(低、低)を維持していた。 ネオ・コーポラティズムは、このことを説明する政治的要因としても着目された。 定義 [ ] ネオ・コーポラティズムは主に政策や政策の分析に使用される概念である。 これを例にとって定義すると以下のとおりである。 ネオ・コーポラティズムと多元主義 利益集団システム [ ] ネオ・コーポラティズムは、最も狭義には集権的な利益集団システムを指す。 たとえば労働組合の場合、集権性の度合いは、• 労働組合の組織率が高い。 国内の労働組合が単一の全国組織()を頂点としたヒエラルキーとして組織されている。 各労働組合にとって上位組織への加入が強制的である。 組合費の配分について頂上団体への比率が相対的に多い。 下位組織のなどに際して頂上団体が財政支援を行う。 頂上団体が多数の専属スタッフを抱えている。 頂上団体の決定から逸脱する下位組織に対して、頂上団体が有効な制裁措置を執りうる。 などの指標によって測られる。 このように利益集団システムの集権性の度合いが強いほど、その国のコーポラティズム度は高く位置づけられる。 団体交渉 [ ] 労使交渉が、工場レベル・企業レベル・産業レベル・国レベルなど、どのレベルで行われるかは国によって、また年代によって異なる。 労使交渉が国レベルなどのハイレベルで行われ、かつ、労使の上位組織による交渉結果がそれぞれの下位組織を強く拘束する場合、コーポラティズム度は高く位置づけられる。 政策過程 [ ] 労使の利益集団システムが高度に集権化されている場合、政府は、それぞれ頂上団体にそれぞれのセクターの利害を包括的・独占的に代表させ、利害調整のパートナーとして政策決定過程に組み込むことがある(利益表出)。 また、政策決定における独占的な地位と引き換えに、政労使の利害調整を経て決定された政策について、労使の頂上団体が円滑な政策実施に対して責任を負う。 そして、頂上団体は、当該政策が自分たちの利益に適うことを下位組織に説明し、その受容を強要する(利益媒介)。 さらに、に代わって労使の利益集団が政策実施の一部を担うこともある。 このように、利益集団が政策過程に組み込まれる度合いが高いほど、コーポラティズム度は高く位置づけられる。 多元主義との違い [ ] 利益集団システムのとしてのネオ・コーポラティズムに対して対極に位置づけられるのがである。 すなわち、• 利益集団が分立・割拠しており、セクターの利害を独占的に代表する頂上団体が存在しない。 政策決定に対して影響力を行使するために同じセクターの利益集団どうしが競争している。 という状態である。 多元主義の特徴が強い国としてはアメリカが挙げられる。 先進諸国のコーポラティズム度 シュミッターによる順位 キャメロンによる指標 集権度 独占度 順位 集権度 独占度 組織率 指標 1. 0 3. 0 1. 0 0. 8 1. 0 50 90. 0 5. 0 1. 5 2. 0 0. 7 0. 8 65 97. 5 5. 0 4. 5 4. 0 0. 7 0. 8 70 105. 0 5. 0 4. 5 4. 0 0. 6 0. 8 47 65. 8 8. 0 1. 5 4. 0 0. 4 0. 8 54 64. 8 2. 0 8. 5 6. 0 0. 6 0. 6 28 33. 6 3. 0 8. 5 7. 0 0. 6 0. 6 55 66. 0 9. 0 6. 0 8. 0 0. 2 0. 8 32 32. 0 7. 0 13. 0 9. 0 0. 4 0. 6 24 24. 0 12. 5 8. 5 10. 5 0. 0 0. 4 27 10. 8 12. 5 8. 5 10. 5 0. 0 0. 4 21 8. 4 10. 0 13. 0 12. 0 0. 0 0. 2 24 4. 8 12. 5 11. 0 13. 0 0. 3 0. 4 45 31. 5 12. 5 13. 0 14. 0 0. 2 0. 2 41 16. 4 - - - 0. 3 0. 4 40 28. 0 - - - 0. 1 0. 2 16 4. 8 特徴 [ ] マクロ経済への影響 [ ] ネオ・コーポラティズム論において、インフレ率などの経済指標と労働組合の強さの関係について、通説と異説の見解に分かれる。 通説的理解では、労働組合が強さや集権性に反比例してインフレ率が低くなる傾向が主張される。 その理由としては、• 労働組合が集権的に組織されている場合、政府が政策を充実させることと引き換えに、労働組合が賃上げ要求を抑制する。 労働組合の交渉力が経営者にとって無視しがたいほど強力である場合、労働組合の経営参加が制度的に保障されるため、企業経営やマクロ経済を圧迫するほどの賃上げ要求を控えるようになる。 労働組合が集権的に組織されていない場合は「賃金交渉における集合行為問題」 が生じてしまう。 その一方で、労働組合が集権的に組織されている場合、労組の全国組織は、全国レベルでの賃金交渉でマクロ経済全体を考慮した水準に抑制し、その交渉結果を傘下労組に強要するため、「賃金交渉における集合行為問題」が回避される。 などと説明される。 これに対して異説では、労働組合の力や集権性が弱い場合と強い場合の両極端でインフレ率が低くなり、その中間でインフレ率が高くなる傾向が主張される。 労働組合の力が弱い場合、市場メカニズムに従って賃金水準が決定されるため、インフレが抑制される。 しかし、労働組合が分権的ながらも一定の交渉力を持っている場合、「賃金交渉における集合行為問題」によりインフレが生じる。 「賃金交渉における集合行為問題」が回避されるには、労組の全国組織が賃上げ抑制を傘下労組に強要できる程度に、労働組合が集権的に組織されている必要があるとされる。 福祉国家との関係 [ ] 集権化された労働組合が賃上げ要求を抑制する場合、その見返りに経営者団体が社会保障政策の拡充を容認することがある。 逆に、政党の政権下で、賃上げ抑制に対する見返りの政策が期待できる場合、集権化された労働組合は賃上げ抑制に応じやすくなる。 また、普遍主義的な社会保障政策は、失業率が上昇すると一気に財政負担が増大してしまうことから、の実現が前提条件となる。 このため、普遍主義を志向するではが推進されることが多い。 ネオ・コーポラティズムの性格が強い国では、生産性の高い産業への労働者の移動や、産業の再編・合理化に対して、労働組合が協力(もしくは率先して推進)することがある(たとえばや)。 衰退 [ ] しかし、頃からネオ・コーポラティズム的な政労使の協調体制の衰退が指摘されている。 原因の1つはの影響である。 すなわち、の国際移動のにより国内産業の流出する可能性が生じたことから、政策決定における経営者団体の発言力が高まっている。 また、からへの産業構造の転換によって労働者の均質性が失われ、労働組織率の低下に伴って労働組合の発言力も低下している。 たとえばスウェーデンは従来からネオ・コーポラティズムの典型例と言われてきたが、の下野(、)に象徴される労働組合の退潮、1980年代以降の賃金交渉の分権化、、、福祉政策の削減など、ネオ・コーポラティズムの著しい衰退が指摘されている。 脚注・出典 [ ] []• Wiarda, 1996, p. Clarke, 2001, p. 113. Clarke, 2001, p. 113• 稲上他、1997年。 橘川、島田、2008年。 リーダーズ英和辞典(研究社)、ロイヤル英和辞典(旺文社)、ランダムハウス英和大辞典・プログレッシブ英和中辞典(小学館)• 「政治学の基礎」(一藝社、2002年、p138-139)• Wiarda, 1996, p. 23-24. Slomp, 2000, p. Adler, 2002, p. 349• Wiarda, 1996, p. Murchison, 1967, p. 150. Morgan, 2009, p. Wiarda, 1996, p. 28-88"• Wiarda, 1996, p. 31-38, 44, 111, 124, 140. シュミッター、1984年、28-30頁。 たとえばスウェーデンの場合、政策決定過程では、• 平均4名程度で行われるに、、、利益集団などが参加する。 レミス(remiss)• 利益集団に対する意見聴取手続き。 政策実施過程では、• 政策実施を担当する行政機関である「庁」(styrelse、verk、イギリスの下の行政改革におけるに相当)の運営機関に利益集団が参加。 具体的には、労働市場庁(Arbetsmarknadsstyrelsen、)の行政委員会を通じた労働組合の影響力行使が有名である。 などの諸制度が挙げられる。 宮本、1999年、64-67頁。 新川他、2004年、112頁。 Philippe C. Schmitter, "Interest Intermediation and Regime Governability in Contemporary Western Europe and North America," Organizing Interests in Western Europe, Suzanne D. Berger ed. , Cambridge University Press, 1981. Miriam Golden, "The Dynamics of Trade Unionism and National Economic Performance," American Political Science Review, vol. 87, no. 2, 1993. David R. Cameron, "Social Democracy, Corporatism, Labour Quiescence, and the Representation of Economic Interest in Advanced Capitalist Society," Order and Conflict in Contemporary Capitalism, John H. Goldthorpe ed. , Oxford University Press, 1984. ( 「社会民主主義・コーポラティズム・穏健な労働運動」 編 『収斂の終焉-現代西欧社会のコーポラティズムとデュアリズム』 他訳、有信堂高文社、1987年。 このほか、• 労働組合の集権性と政府の党派性の組み合わせ• (労働組合ではなく)経営者側の協調体制• のとの関係 を重視する研究などがある。 新川他、2004年、121-163頁。 「賃金交渉における集合行為問題」とは以下のようなである。 過度な賃上げは労働コストの上昇によるの低下やコスト・プッシュ・インフレを招く。 しかし、労働組合が分権的に組織されている場合、個々の労働組合にとって、他の企業・産業の賃金交渉で賃上げ抑制が実現される保証はない。 もし他の企業・産業で大幅な賃上げが実現したにもかかわらず、自分たちだけ賃上げを抑制してしまうと、インフレによってが低下してしまう。 また、たとえ他の企業・産業で賃上げが抑制されたとしても、自分たちだけ抜け駆けして大幅な賃上げを実現することで、(個々の賃金交渉がマクロ経済全体に及ぼす影響は小さいから)「良好なマクロ経済環境」と「大幅な賃上げ」の両方の果実を得ることができる。 このように「良好なマクロ経済環境」はの性格を持つため、多くの労働組合がして、大幅な賃上げを要求してしまう。 その結果としてマクロ経済が悪化する。 新川他、2004年、125頁、138頁。 新川他、2004年、143頁。 井戸、2006年。 参考文献 [ ]• Adler, Franklin Hugh, Italian Industrialists from Liberalism to Fascism: The Political Development of the Industrial Bourgeoisie, 1906-34, Cambridge University Press, 2002. Clarke, Paul A. ; Foweraker, Joe. Encyclopedia of democratic thought, London, UK; New York, USA: Routledge, 2001. Morgan, Conwy Lloyd, Conwy Lloyd, Animal Behaviour, Bibliolife, LLC, 2009. Slomp, Hans, European politics into the twenty-first century: integration and division, Westport, Connecticut, USA: Praeger Publishers, 2000. Wiarda, Howard J. , Corporatism and comparative politics, M. Sharpe, 1996. 「コーポラティズムの復権?」 編 『比較福祉政治』 早稲田大学出版部〈比較政治叢書〉、2006年。 他 『ネオ・コーポラティズムの国際比較-新しい政治経済モデルの探索』 日本労働研究機構、1997年。 、 『進化の経営史-人と組織のフレキシビリティ』有斐閣、2008年。 「いまもなおコーポラティズムの世紀なのか?」 Ph. シュミッター・編 『現代コーポラティズム(I)-団体統合主義の政治とその理論』 監訳、木鐸社、1984年。 他 『比較政治経済学』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2004年。 宮本太郎 『福祉国家という戦略-スウェーデンモデルの政治経済学』 法律文化社、1999年。 山口定 「コーポラティズム」 、編 『国際政治経済辞典』 東京書籍、2003年。 関連項目 [ ]•

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ネオ コーポラ ティズム

龍谷大学法学部教授 渡辺 博明 はじめに スウェーデンの労働運動は、その組織力や社会民 主労働党(以下、社民党)との協力関係を通じて、 直接的な労働条件のみならず、労働市場政策や社会保障政策にも影響を与えながら広く労働者の生活条件を改善してきており、世界で最も成功した事例の一つに数えられよう。 しかし、そのような労働運動も、その後の社会経済構造の変化の中で厳しい 試練を受けながら現在に至っている。 本稿では、ス ウェーデンの労働運動の歴史を概観した後、現在の状況を、国内の政治情勢と欧州統合の影響に着目して見ていく。 1.組織化と政治的影響力 スウェーデンでは19世紀半ば以降、各地で労働運動が起こり、1998年には社民党の指導の下に労働組合の全国組織LOが結成された。 20世紀に入り、森林、鉄鉱石、水力などの資源を生かして工業化が進む中、LOおよび各加盟労組が、その組織力を背景にしばしばストライキに訴え、使用者側もロックアウトで対抗するという大規模な労使紛争につな がっていた。 当初は、たとえば1909年のゼネストのように、激しい闘争の末に組合側が敗れて解雇者を出し、組合員の離脱を招くこともあったが、増え続ける産業労働者や自治体職員の組織化を経てLOは 力を強めていった。 1930年代に入ると、失業保険の運営に組合が関わる方式(ゲント制)が導入され、失業保険への加入と組合への加入とが事実上重なるようになり、その組織力はさらに増した。 こうした中でスウェーデンの労働運動は、しだいに闘争よりも交渉による労働条件改善を志向するようになり、その力を認めた経営者側にも産業平和を求める気運が高まった。 その結果、1938年にLOと経 営者団体中央組織S A Fとの間で協定が結ばれ、 以後、労働者側が経営権を尊重する一方、賃金その他の条件については労使当事者間の交渉によって決めていくことが確認された(サルトシェーバーデン 協定)。 他方で、社会経済的諸政策については、社民党 の長期政権の下で、政・労・使の三者交渉を通じてその基本枠組みが決められる「ネオ・コーポラティズ ム」の傾向が強まった。 特に1950年代から60年代 にかけては、三者間で定期的な協議がもたれた他、 政策形成において重要な役割を果たす議会外の調査委員会や、各省庁の下で諸政策の実施にあたる行政委員会に労使の代表が加わる体制が発達した。 またその間、LOと社民党は、前者の議長が後者の意思決定中枢である執行委員会のメンバーを兼ねることが慣例化されており、組織的にも深く結びつ いていた。 労働組合としては、1944年に事務労働 者組合の全国組織TCO、1947年に大卒専門職の 中央組織S A C Oも結成されたが、規模の面では産 業労働者を中心としたLOが圧倒的に大きく、その後 もスウェーデンの労働運動はLOを中心に展開された。 2.「レーン=メイドナー・モデル」と経済民主 主義への挑戦 第二次世界大戦の戦禍を免れたスウェーデンは、 1970年代に入るまで比較的安定した経済成長を続 け、その間に基礎的社会保障の確立にとどまらず、 中間層をも含めた多くの人々に権利として社会保障 や社会サービスを提供する普遍主義的福祉国家を 築き上げた。 その一方で労働運動は、完全雇用と産 業発展とを同時に実現しようとする独自の戦略を展開していった。 それはL Oの2人のエコノミストの名に ちなみ「レーン=メイドナー・モデル」と呼ばれ、「連帯 賃金政策」と「積極的労働市場政策」の組み合わ せからなっていた。 前者は主に「同一労働・同一賃 金」の原則を徹底させることであり、後者は生産性 の低い産業部門を保護せずに解体するとともに、その労働力を職業訓練や住宅供給によって支えながら高生産性部門へと移動させ、全体として産業構造 を高度化しながら、雇用を維持し、経済成長を進めようとするものであった。 また、小規模開放型のスウェーデン経済にとっては輸出産業の競争力維持 が不可欠であるため、経営者側も、労働条件や社会 保険料負担で譲歩しつつ、連帯賃金政策による賃上げ圧力の抑制を期待することができた。 もちろん、 新たな技能の習得を迫られたり、職を求めて転居したりする労働者の負担は小さくなかったし、すべてが 狙いどおりに進んだわけではないが、労働運動が、 高い組織率を背景に政策決定に影響力をもち、かつ、産業発展と雇用・福祉を両立させるための明確な戦略をもって活動していたことは特筆されるべきであろう。 他方、より直接的な労使関係をめぐっては、1960 年代後半にLOと社民党が「産業民主主義」を求めてさらなる攻勢に出た。 1972年には「労働者重役法」が成立し、従業員50人以上の企業では2人以 上の重役を労働者から選出することとなった。 また、74年には「職場代表法」が制定され、労働者側の代表が参加して労働条件や安全基準等を整備していく体制が確立された。 さらに77年には、従来の職 場協議会制度を発展させる形で「共同決定法」が定められ、企業が業務内容を変更する際には、労組から選ばれる従業員代表との間で事前に協議する ことが義務づけられた。 こうして自らの立場を強めていた労働運動が次に 追求したのが、企業の超過利潤に課税してつくった基金によってその株を買い増していき、最終的に経営権をも握ろうとする「労働者基金」の構想であっ た。 それは、サルトシェーバーデン協定から共同決定法に至るまで、従来は労働者側が企業の経営権には踏み込まないことを前提としていた点からすると 極めて野心的な試みであったが、その分当然ながら経営者側や右派政党からの激しい反発を招いた。 それは数年にわたる論争を経て1982年に一応の 成立を見たが、その内容は当初の意図とは異なり、 経営権の制限という点では実質的な意味をもたないものとなった。 この経験は労働運動の限界を示すものともなったが、それでも70年代までのスウェーデンの労働運動は、産業政策全体への影響力の点で大きな成果を残したといえよう。 しかし、1980年代以降は、賃金形成をめぐって産業部門ごとに分離交渉が行われたり、90年代初頭までにS A Fが行政委員会から代表を引き揚げたり するなど、集権的な労使関係に基づくネオ・コーポラ ティズム的体制に変化が生じるとともに、労働運動が社会経済的な影響力を強めてきた流れも反転し始めた。 そして、90年代初頭の経済危機を経て完全雇用の維持が難しくなると、ポスト産業化やグローバ ル化というより大きな構造変化の中で、労働運動は厳しい試練を迎えることとなった。 世界の労働運動 の他の最新記事.

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コーポラティズムとは

ネオ コーポラ ティズム

コーポラティズム(: Corporativismo、: Corporatism)とは、・分野におけるの概念の1つで、や社会などの集団の、的な関連性と相互の協調を重視する。 コーポラティズムの概念はので、当時のによる個人主義的な社会観に反対する形で発生し、共同体をののように見做し、個人の間における有機体的で社会連帯的で機能的な特質と役割に基礎を置いた。 にはなどファシストがコーポラティズムを主張し、国家組織にやの代表を組織し、を行った。 これは「 国家コーポラティズム」や「的コーポラティズム」とも呼ばれる。 また後は、などの諸国におけるとのパートナーシップに基づく立案・政策運営・利害調整もコーポラティズムと呼ばれる。 これは「 ネオ・コーポラティズム」(新コーポラティズム)や「社会コーポラティズム」、「民主的コーポラティズム」、「的コーポラティズム」などとも呼ばれる。 用語 [ ] 「コーポラティズム」の語はの「 」(身体)に由来する。 日本では時期や指す内容にも応じて、「協同主義」「協調主義」「統合主義」 、あるいは「協調組合主義」 などと訳されている。 通常、前はの経済会議やイタリアの国家の団体統合原理である「職能代表制」を指したが、第二次世界大戦後は政府となどの巨大な圧力団体との密接な関係を指すようになった。 また「ネオ・コーポラティズム」は「新協調主義」や「新協調組合主義」 とも訳されている。 概要 [ ] 公式なコーポラティストのモデルは、農業や経営、民族、労働、軍事、後援、科学、宗教などのコーポレート・グループの集約的な身体(集団)への契約を基礎とする。 コーポラティズムの最も著名な形態の1つは、経済政策を設定するための経営・労働・国家の利益集団の間の調整を含む、三者構成原則である。 コーポラティズムは、階層的な機能という的な概念に関連している。 集団的で社会的な相互交流や相互作用は、家族や一族や民族などの集団の中では一般的である。 人間以外でもなどの一部の動物の種は、強い集団的な社会組織を示す事が知られている。 自然ではのは、集団的な組織体と相互作用を含むことが認識されている。 コーポラティストの共同体や社会的相互作用の視点では、や、、、などのが、多くの主要な世界では一般的である。 またコーポラティズムはをまたがった多くのを使用してきており、それにはや、、ファシズム、自由主義、、、、、などが含まれる。 思想としてのコーポラティズム [ ] コーポラティズム的な着想は、後半以降の非常に多種多様な思想の中に垣間見ることができる。 具体的には、• を主張したオーストリアの• イギリスの• の「」()• の回勅「」() などが挙げられる。 また、におけるはコーポラティズムの制度化とも考えられる。 国家コーポラティズム [ ] 国家コーポラティズムの典型例としては、イタリアのファシズムにおける「コーポラティスト国家」が挙げられる。 これは元でファシストの が理論化した。 このほか、のなど、のやの権威主義諸国も国家コーポラティズムの性格を有していた。 ただし、は、思想としてのコーポラティズムも、政治システムとしての国家コーポラティズムも、検討が十分ではないと指摘している。 ネオ・コーポラティズム [ ] 背景 [ ] 戦後のヨーロッパの小国(北欧諸国やオーストリアなど)では、集権的な利益集団システムや、政府・労働組合・経営者団体の協調に基づく政策過程が観察された。 シュミッターやは、国家コーポラティズムとの外見的類似性から、このような政治システムをネオ・コーポラティズムと呼称した。 特ににがに喘ぐ中で、ネオ・コーポラティズム体制を構築していたの諸国は比較的良好な経済パフォーマンス(低、低)を維持していた。 ネオ・コーポラティズムは、このことを説明する政治的要因としても着目された。 定義 [ ] ネオ・コーポラティズムは主に政策や政策の分析に使用される概念である。 これを例にとって定義すると以下のとおりである。 ネオ・コーポラティズムと多元主義 利益集団システム [ ] ネオ・コーポラティズムは、最も狭義には集権的な利益集団システムを指す。 たとえば労働組合の場合、集権性の度合いは、• 労働組合の組織率が高い。 国内の労働組合が単一の全国組織()を頂点としたヒエラルキーとして組織されている。 各労働組合にとって上位組織への加入が強制的である。 組合費の配分について頂上団体への比率が相対的に多い。 下位組織のなどに際して頂上団体が財政支援を行う。 頂上団体が多数の専属スタッフを抱えている。 頂上団体の決定から逸脱する下位組織に対して、頂上団体が有効な制裁措置を執りうる。 などの指標によって測られる。 このように利益集団システムの集権性の度合いが強いほど、その国のコーポラティズム度は高く位置づけられる。 団体交渉 [ ] 労使交渉が、工場レベル・企業レベル・産業レベル・国レベルなど、どのレベルで行われるかは国によって、また年代によって異なる。 労使交渉が国レベルなどのハイレベルで行われ、かつ、労使の上位組織による交渉結果がそれぞれの下位組織を強く拘束する場合、コーポラティズム度は高く位置づけられる。 政策過程 [ ] 労使の利益集団システムが高度に集権化されている場合、政府は、それぞれ頂上団体にそれぞれのセクターの利害を包括的・独占的に代表させ、利害調整のパートナーとして政策決定過程に組み込むことがある(利益表出)。 また、政策決定における独占的な地位と引き換えに、政労使の利害調整を経て決定された政策について、労使の頂上団体が円滑な政策実施に対して責任を負う。 そして、頂上団体は、当該政策が自分たちの利益に適うことを下位組織に説明し、その受容を強要する(利益媒介)。 さらに、に代わって労使の利益集団が政策実施の一部を担うこともある。 このように、利益集団が政策過程に組み込まれる度合いが高いほど、コーポラティズム度は高く位置づけられる。 多元主義との違い [ ] 利益集団システムのとしてのネオ・コーポラティズムに対して対極に位置づけられるのがである。 すなわち、• 利益集団が分立・割拠しており、セクターの利害を独占的に代表する頂上団体が存在しない。 政策決定に対して影響力を行使するために同じセクターの利益集団どうしが競争している。 という状態である。 多元主義の特徴が強い国としてはアメリカが挙げられる。 先進諸国のコーポラティズム度 シュミッターによる順位 キャメロンによる指標 集権度 独占度 順位 集権度 独占度 組織率 指標 1. 0 3. 0 1. 0 0. 8 1. 0 50 90. 0 5. 0 1. 5 2. 0 0. 7 0. 8 65 97. 5 5. 0 4. 5 4. 0 0. 7 0. 8 70 105. 0 5. 0 4. 5 4. 0 0. 6 0. 8 47 65. 8 8. 0 1. 5 4. 0 0. 4 0. 8 54 64. 8 2. 0 8. 5 6. 0 0. 6 0. 6 28 33. 6 3. 0 8. 5 7. 0 0. 6 0. 6 55 66. 0 9. 0 6. 0 8. 0 0. 2 0. 8 32 32. 0 7. 0 13. 0 9. 0 0. 4 0. 6 24 24. 0 12. 5 8. 5 10. 5 0. 0 0. 4 27 10. 8 12. 5 8. 5 10. 5 0. 0 0. 4 21 8. 4 10. 0 13. 0 12. 0 0. 0 0. 2 24 4. 8 12. 5 11. 0 13. 0 0. 3 0. 4 45 31. 5 12. 5 13. 0 14. 0 0. 2 0. 2 41 16. 4 - - - 0. 3 0. 4 40 28. 0 - - - 0. 1 0. 2 16 4. 8 特徴 [ ] マクロ経済への影響 [ ] ネオ・コーポラティズム論において、インフレ率などの経済指標と労働組合の強さの関係について、通説と異説の見解に分かれる。 通説的理解では、労働組合が強さや集権性に反比例してインフレ率が低くなる傾向が主張される。 その理由としては、• 労働組合が集権的に組織されている場合、政府が政策を充実させることと引き換えに、労働組合が賃上げ要求を抑制する。 労働組合の交渉力が経営者にとって無視しがたいほど強力である場合、労働組合の経営参加が制度的に保障されるため、企業経営やマクロ経済を圧迫するほどの賃上げ要求を控えるようになる。 労働組合が集権的に組織されていない場合は「賃金交渉における集合行為問題」 が生じてしまう。 その一方で、労働組合が集権的に組織されている場合、労組の全国組織は、全国レベルでの賃金交渉でマクロ経済全体を考慮した水準に抑制し、その交渉結果を傘下労組に強要するため、「賃金交渉における集合行為問題」が回避される。 などと説明される。 これに対して異説では、労働組合の力や集権性が弱い場合と強い場合の両極端でインフレ率が低くなり、その中間でインフレ率が高くなる傾向が主張される。 労働組合の力が弱い場合、市場メカニズムに従って賃金水準が決定されるため、インフレが抑制される。 しかし、労働組合が分権的ながらも一定の交渉力を持っている場合、「賃金交渉における集合行為問題」によりインフレが生じる。 「賃金交渉における集合行為問題」が回避されるには、労組の全国組織が賃上げ抑制を傘下労組に強要できる程度に、労働組合が集権的に組織されている必要があるとされる。 福祉国家との関係 [ ] 集権化された労働組合が賃上げ要求を抑制する場合、その見返りに経営者団体が社会保障政策の拡充を容認することがある。 逆に、政党の政権下で、賃上げ抑制に対する見返りの政策が期待できる場合、集権化された労働組合は賃上げ抑制に応じやすくなる。 また、普遍主義的な社会保障政策は、失業率が上昇すると一気に財政負担が増大してしまうことから、の実現が前提条件となる。 このため、普遍主義を志向するではが推進されることが多い。 ネオ・コーポラティズムの性格が強い国では、生産性の高い産業への労働者の移動や、産業の再編・合理化に対して、労働組合が協力(もしくは率先して推進)することがある(たとえばや)。 衰退 [ ] しかし、頃からネオ・コーポラティズム的な政労使の協調体制の衰退が指摘されている。 原因の1つはの影響である。 すなわち、の国際移動のにより国内産業の流出する可能性が生じたことから、政策決定における経営者団体の発言力が高まっている。 また、からへの産業構造の転換によって労働者の均質性が失われ、労働組織率の低下に伴って労働組合の発言力も低下している。 たとえばスウェーデンは従来からネオ・コーポラティズムの典型例と言われてきたが、の下野(、)に象徴される労働組合の退潮、1980年代以降の賃金交渉の分権化、、、福祉政策の削減など、ネオ・コーポラティズムの著しい衰退が指摘されている。 脚注・出典 [ ] []• Wiarda, 1996, p. Clarke, 2001, p. 113. Clarke, 2001, p. 113• 稲上他、1997年。 橘川、島田、2008年。 リーダーズ英和辞典(研究社)、ロイヤル英和辞典(旺文社)、ランダムハウス英和大辞典・プログレッシブ英和中辞典(小学館)• 「政治学の基礎」(一藝社、2002年、p138-139)• Wiarda, 1996, p. 23-24. Slomp, 2000, p. Adler, 2002, p. 349• Wiarda, 1996, p. Murchison, 1967, p. 150. Morgan, 2009, p. Wiarda, 1996, p. 28-88"• Wiarda, 1996, p. 31-38, 44, 111, 124, 140. シュミッター、1984年、28-30頁。 たとえばスウェーデンの場合、政策決定過程では、• 平均4名程度で行われるに、、、利益集団などが参加する。 レミス(remiss)• 利益集団に対する意見聴取手続き。 政策実施過程では、• 政策実施を担当する行政機関である「庁」(styrelse、verk、イギリスの下の行政改革におけるに相当)の運営機関に利益集団が参加。 具体的には、労働市場庁(Arbetsmarknadsstyrelsen、)の行政委員会を通じた労働組合の影響力行使が有名である。 などの諸制度が挙げられる。 宮本、1999年、64-67頁。 新川他、2004年、112頁。 Philippe C. Schmitter, "Interest Intermediation and Regime Governability in Contemporary Western Europe and North America," Organizing Interests in Western Europe, Suzanne D. Berger ed. , Cambridge University Press, 1981. Miriam Golden, "The Dynamics of Trade Unionism and National Economic Performance," American Political Science Review, vol. 87, no. 2, 1993. David R. Cameron, "Social Democracy, Corporatism, Labour Quiescence, and the Representation of Economic Interest in Advanced Capitalist Society," Order and Conflict in Contemporary Capitalism, John H. Goldthorpe ed. , Oxford University Press, 1984. ( 「社会民主主義・コーポラティズム・穏健な労働運動」 編 『収斂の終焉-現代西欧社会のコーポラティズムとデュアリズム』 他訳、有信堂高文社、1987年。 このほか、• 労働組合の集権性と政府の党派性の組み合わせ• (労働組合ではなく)経営者側の協調体制• のとの関係 を重視する研究などがある。 新川他、2004年、121-163頁。 「賃金交渉における集合行為問題」とは以下のようなである。 過度な賃上げは労働コストの上昇によるの低下やコスト・プッシュ・インフレを招く。 しかし、労働組合が分権的に組織されている場合、個々の労働組合にとって、他の企業・産業の賃金交渉で賃上げ抑制が実現される保証はない。 もし他の企業・産業で大幅な賃上げが実現したにもかかわらず、自分たちだけ賃上げを抑制してしまうと、インフレによってが低下してしまう。 また、たとえ他の企業・産業で賃上げが抑制されたとしても、自分たちだけ抜け駆けして大幅な賃上げを実現することで、(個々の賃金交渉がマクロ経済全体に及ぼす影響は小さいから)「良好なマクロ経済環境」と「大幅な賃上げ」の両方の果実を得ることができる。 このように「良好なマクロ経済環境」はの性格を持つため、多くの労働組合がして、大幅な賃上げを要求してしまう。 その結果としてマクロ経済が悪化する。 新川他、2004年、125頁、138頁。 新川他、2004年、143頁。 井戸、2006年。 参考文献 [ ]• Adler, Franklin Hugh, Italian Industrialists from Liberalism to Fascism: The Political Development of the Industrial Bourgeoisie, 1906-34, Cambridge University Press, 2002. Clarke, Paul A. ; Foweraker, Joe. Encyclopedia of democratic thought, London, UK; New York, USA: Routledge, 2001. Morgan, Conwy Lloyd, Conwy Lloyd, Animal Behaviour, Bibliolife, LLC, 2009. Slomp, Hans, European politics into the twenty-first century: integration and division, Westport, Connecticut, USA: Praeger Publishers, 2000. Wiarda, Howard J. , Corporatism and comparative politics, M. Sharpe, 1996. 「コーポラティズムの復権?」 編 『比較福祉政治』 早稲田大学出版部〈比較政治叢書〉、2006年。 他 『ネオ・コーポラティズムの国際比較-新しい政治経済モデルの探索』 日本労働研究機構、1997年。 、 『進化の経営史-人と組織のフレキシビリティ』有斐閣、2008年。 「いまもなおコーポラティズムの世紀なのか?」 Ph. シュミッター・編 『現代コーポラティズム(I)-団体統合主義の政治とその理論』 監訳、木鐸社、1984年。 他 『比較政治経済学』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2004年。 宮本太郎 『福祉国家という戦略-スウェーデンモデルの政治経済学』 法律文化社、1999年。 山口定 「コーポラティズム」 、編 『国際政治経済辞典』 東京書籍、2003年。 関連項目 [ ]•

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